不動産を売却したいが「住みながら売却できたらいいのに。」などと、気になる方も多いのではないでしょうか?住みながら売却できれば、急いで退去することもありません。そこで今回は、住みながら売却するなら知っておきべきコトについて解説します。
結論!住みながら売却はできる!
結論から言うと、住みながら家を売却することは可能です。一般的には、空き家にしてから売る方法と住みながら家を売却する方法があります。
空き家にしてから売ると、部屋全体が広く見えるため、印象が良くなります。
一方、住みながら家を売るときは、内見に来た人に与える印象はよくありません。
しかし、住みながら売却するメリットもいくつかあります。
たとえば、新居が決まっていない場合にゆっくりと探すことができますが、空き家にすると、移転先をすぐに見つけなければなりません。
住みながら売却するなら知っておきべきコト!
住みながら売却するなら知っておきべきことをメリット・デメリットを踏まえて解説します。
1. 住みながら売却するメリット
売却代金を新居に充てることができる
新たに住み替えを検討する人は、住みながら売却することも多くあります。
住み替えには、「買い先行」と「売り先行」があります。
「買い先行」は、先に新しい家を購入してから、現在の家を売却します。
「売り先行」は、先に現在の家を売却してから、新しい家を購入します。
売り先行であれば、売却代金を引っ越し代や新居に充てることができます。自己資金が少ない場合や予算オーバーであっても新居を購入することができます。
予算内で資金計画が立てられる
住みながら家を売ることができれば、売却代金が確定するので予算が明確になると、どのような家を購入するのか資金計画を立てやすくなります。
加えて、住宅ローンの融資額の計画も立てることができます。
予算が確定していない場合は、金額の上限が不明なため、どうしても予算オーバーになりやすくなります。
理想に近い価格で売却できる
住みながら家を売却をすることができれば、じっくりと不動産会社を調べることができ、適正な価格で売却できる可能性が高くなります。
売却を急ぐと不動産会社に足を運ぶ時間もなく、妥協して選んでしまう場合もあります。不動産会社選びで失敗すると、安く売却されて損をすることも否定できません。
引越しが1度で済む
住みながらの売却であれば、引越しを1度で済ますことができます。そのため、引越しの手間や費用が抑えられます。
空き家にしてから引越しした場合、仮住まいを探さなければならない場合もあります。
2. 住みながら売却するデメリット
プライバシーが守れない
あらゆる部屋を内覧するので、入居希望者には、家具などが置きっ放しで、生活感が溢れ出た状態を見せることになります。
したがって、プライバシーを確保することが難しくなり、内覧時の印象と理想とのギャップが生じる可能性もあります。
細かく掃除ができない
現在住んでいる家なので、隅々まで掃除をすることが困難になります。全体的に清潔感溢れる部屋を見せることが難しいので、内覧時はマイナスイメージになる可能性があります。
急な内覧に対応しなければならない
内覧は、平日と休日どちらにも入ることがあるので、入居希望者の都合により、急な内覧にも対応しなければなりません。
そのため、常に掃除をしながら、できるだけ部屋をキレイにする必要があります。
室内の死角で購入後のトラブルになる
内覧者にあらゆる箇所を見てもらった後に、家具の置かれていた裏側など、フローリングや壁の損傷や劣化が見つかり、後でトラブルになることも考えられます。
以前は、隠れた瑕疵として瑕疵担保責任を負う規定がありましたが、民法改正により契約不適合責任に変わりました。
これにより、隠れた瑕疵で無くても売主は損害賠償請求などをされる可能性があるので、
室内の死角についても十分注意しましょう。
3. 住みながら売却する際の注意点
住みながら売却する際は、どのような注意点があるのでしょうか?それぞれ解説します。
内覧の準備は怠らない
前述の通り、内覧は急に入ることがあります。曜日問わず、急な要望にも応えなければなりません。家の中を片付けていなかったり、汚れが目立っていたりすると、内覧者から良い印象を与えることができません。
売り出し中は、常に部屋の中の状態を清潔に保つように維持することが大切です。
早めに引越先の準備を行う
住みながら売却ができたとしても、買主が決まれば速やかに引越しの準備をしなければなりません。まだ新居が決まっていない場合は、ある程度の期間がかかります。
その他にも引越し業者を探したり、不要なものを処分するなど、やることが意外と多くあります。
また、引越しの繁忙期になると割高になるケースもあり、引越し業者の選定も時間がかかる場合もあるので、早めに計画を立てていきましょう。
売却時に税金がかかる
不動産を売却するとさまざまな税金がかかります。まずは、売買契約時に「印紙税」がかかります。
印紙税は、第1号文書から第20号文書まで20種類の文書に課税されます。
ただし、2022年3月31日までの間に作成されるものについては軽減措置が取られています。
不動産売買契約書の印紙税は以下の通りです。
記載金額 | 不動産売買契約書 |
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 |
50万円以下 | 400円(軽減措置後:200円) |
100万円以下 | 1,000円(軽減措置後:500円) |
200万円以下 | 2,000円(軽減措置後:1,000円) |
300万円以下 | 2,000円(軽減措置後:1,000円) |
500万円以下 | 2,000円(軽減措置後:1,000円) |
1,000万円以下 | 1万円(軽減措置後:5,000円) |
5,000万円以下 | 2万円(軽減措置後:1万円) |
1億円以下 | 6万円(軽減措置後:3万円) |
さらに不動産売却には「譲渡所得税」がかかります。
譲渡所得税は、不動産を所有している期間により長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられ、税率も異なります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものは「長期譲渡所得」
譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものは「短期譲渡所得」
2013年1月1日~2037年12月31日までは、所得税額に対し2.1%の復興特別所得税が加算されます。
譲渡所得の計算式は、以下の通りです。
課税譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除
主な不動産の取得費に含まれるものは下記の通りです。
- 不動産の購入代金や建築費用
- 購入時にかかった印紙税
- 登録免許税、不動産取得税
- 仲介手数料
- 測量費、整地費
- 設備費
建物は、以下のような特別控除があります。
- 居住用財産の3,000万円の特別控除
- 所有期間が10年を超える居住用財産を売却した際の軽減税率
おわりに
今回は、住みながら売却するなら知っておくべきコトについて解説しました。住みながら売却するには、上記のようなメリット・デメリットがあります。
特に室内の死角で購入後のトラブルに気をつけなければなりません。場合によっては、契約不適合責任で損害賠償請求される可能性もあります。
住みながら売却するには、事前に建具の不具合や設備の点検、内装のチェックなど、内覧に向けての準備が必要です。
また、不動産売却にかかる税金についても正しく理解しておきましょう。