築2年などの築浅物件で売却する際は「まだ築2年なので高く売れるはず!」と思う方も多いのではないでしょうか?しかし、実際には購入価格より安くなっているケースがほとんどです。そこで今回は、築浅物件の売却をする前に知るべき真実について解説します。
築浅物件の売却をする前に知るべき7つの真実
1. 価値の下落が早い
築2年の一戸建ては、築浅物件で新築に近い価格で売れると思う方も多いのではないでしょうか。しかし、実際には築2年であっても中古物件となり、新築に近い価格で売却することは難しくなります。
なぜなら、新築は1度でも住むと中古物件として扱われるためです。
そもそも新築とは、新たに建設された住宅で一度も人が住んでいない、建設完了から1年以内の物件を指します。
一方、築浅とは、一般的に築5年までの物件を指します。
また、戸建ての資産価値については、国土交通省の「中古住宅流通、リフォーム 市場の現状」によると、築15年ほどまで下落率が比較的大きくなっています。
例えば、一戸建て築2年の場合は、資産価値が約10%、築5年で約30%、 築10年で50%程度資産価値が下がっています。
(参考:国土交通省の「中古住宅流通、リフォーム 市場の現状」)
https://www.mlit.go.jp/common/000135252.pdf
マンションは、木造戸建てに比べ、資産価値の減少が緩やかになっています。
木造戸建ての法定耐用年数は22年、マンションの法定耐用年数は47年となっています。
法定耐用年数とは、建物の使用に耐えうる年数で、減価償却の計算に使われるものを指します。
2. 仲介手数料が発生する
築浅物件では、不動産会社に仲介を依頼して売却するのが一般的な方法です。しかし、新築物件は、デベロッパーやハウスメーカーが直接販売することも多く、仲介手数料が発生しません。
つまり、売主から直接物件を購入する新築は、仲介手数料はかかりません。
不動産売買でかかる仲介手数料の上限は、以下の通りです。
売買代金 | 仲介手数料 |
200万円以下 | 取引価格×5%+消費税 |
200万円超〜400万円以下 | 取引価格×4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 取引価格×3%+6万円+消費税 |
3. 住宅ローンを完済する必要がある
住宅ローンを組んで購入した物件を売却するには、ローンを完済しなければなりません。
ローンを組む際は、金融機関は家を担保に抵当権を設定します。
抵当権は、ローンを完済しなければ抹消するができないので、住宅ローンを完済する必要があります。
4. 購入希望者の不安を解消する説明が必要
購入希望者の中には「築浅物件は設備がきれいはず」「建物の劣化は少ない」などの好印象がある一方で「なぜたった2年で売却するのだろう」「何か売却しなければならない物件の瑕疵があるのだろうか」などと、マイナスのイメージや疑問を持たれる方もいます。
築浅物件の主な売却理由は、以下の通りです。
- 転職・転勤が決まった
- 家族構成の変更
- 子どもの通学が変わった
- 近隣トラブルが解決しない
- 離婚をすることになった
- 住宅ローンの支払いが厳しい
売却にはさまざまな理由がありますが、築浅物件を売却するには、なぜ早期に売却するに至ったのかを説明する必要があります。
しかし、売却理由はすべて包み隠さず伝えなければならないわけではなく、伝え方の工夫も必要です。
例えば、離婚に至った場合でも、家族構成の変化などの表現に変更するのもよいでしょう。
また、近隣トラブルの場合は、伝える必要があるものと伝えなくてもよいものがあります。
改善されない騒音や悪臭問題は伝える必要があります。その一方で、個人的な原因により、隣人との口論が発生した場合などは伝える必要はないでしょう。
伝えておくべきかどうか、判断に迷った際は不動産会社に相談するのもひとつの方法です。
5. 内覧の準備を行う
部屋の中が整理されておらず、汚れが目立っていると、築浅物件であっても買い手がつかない可能性があります。特に物が溢れている部屋では、狭く見えてしまい、高く売ることが難しくなります。
掃除の際は、水回りの水垢や油汚れなどは特に注意する必要があります。必要に応じてハウスクリーニングを依頼するのもよいでしょう。
6. 所有期間が5年以下だと税率が高くなる
所有期間5年以下で土地や建物を売却すると、短期譲渡所得の税率が適用されます。
譲渡所得とは、不動産売却した際に出た利益のことです。
短期譲渡所得とは、不動産を譲渡した年の1月1日において、所有期間が5年以下であるケースです。
短期譲渡所得の税率は、所得税が30%、住民税が9%です。
一方、長期譲渡所得は、不動産を譲渡した年の1月1日において、所有期間が5年超であるケースです。
長期譲渡所得の税率は、所得税が15%、住民税が5%です。
つまり、短期譲渡所得の税率は、長期譲渡所得の税率のほぼ2倍となっています。
しかし、所有年数を問わず、自己の居住用財産を売却する場合は、3,000万円の特別控除が認められいます。
不動産の売却益が3,000万円以下であれば、全て控除されます。
7. 固定資産税の軽減措置を受けることができない
固定資産税の軽減措置は、2022年3月31日までに新たに建てられた住宅を対象に適用されます。
新築一戸建ての場合、3年間は2分の1に減額され、新築マンションの場合は、5年間は2分の1に減額されます。
したがって、築浅物件は新築と比べ、固定資産税が高くなります。
2,000万円の住宅を新築した場合の固定資産税額は、以下の通りです。
特例が無い場合 | 特例がある場合 | |
1年目 | 18.2万円 | 9.1万円 |
2年目 | 17.1万円 | 8.5万円 |
3年目 | 15.9万円 | 8.0万円 |
(参考:国土交通省「税制改正事項・国土交通上住宅局」令和元年12月)
おわりに
今回は、築浅物件の売却をする前に知るべき真実について解説しました。築浅物件であっても中古物件として扱われます。新築と同等の価格ではなく、数年で資産価値が大きく下落するケースもあります。
また、ハウスメーカーから新築を購入する場合と異なり、築浅物件では、不動産会社に依頼すれば仲介手数料が発生します。また、所有期間が5年以下で売却すると、短期譲渡所得として税率が高くなります。
買い手側であれば、築浅物件の設備が比較的新しく、修繕や設備交換の費用を抑えられるなどのメリットがあります。しかし、固定資産税の軽減措置を受けることができないなど、税金面で負担が大きくなります。