不動産を売却する価格ってどう決まるの?査定方法や評価額を説明!

不動産売却

不動産を売却するには、不動産会社に査定を依頼することが一般的です。しかし、売却価格がどのように決まるのか、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。今回は、不動産売却に用いられる査定方法や評価額、売り出し価格と成約価格などについて解説します。

不動産売却に用いられる3つの査定方法!

不動産売却には3つの査定方法がある!

不動産を売却する際は、不動産会社に査定を依頼するところから始まります。不動産会社の査定方法は、机上査定と訪問査定があります。机上査定は、物件の現地調査を行わず、築年数や間取りなどの物件情報や類似物件の成約事例や取引相場などをもとにし、簡易的に査定金額を算出というものです。物件の現地調査を行い、物件の状態や境界の確認、周辺状況など、細かい点をチェックした上で査定金額を算出します。不動産会社が査定額を算出する方法として、原価法、取引事例比較法、収益還元法の3つがあります。それぞれ詳しく解説します。

原価法

現在の物件と同じ建物を新たに建築した際にかかる価格(再調達原価)から築年数の経過した年数による設備の劣化などを差し引く評価方法(減価修正)です。

原価法の計算式は以下の通りです。

積算価格=単価×総面積×残存年数(耐用年数-築年数)÷耐用年数

積算価格は、土地と建物をそれぞれの現在の価格を計算し、それを合わせた評価額です。

法定耐用年数は以下の通り、構造ごとに法律で定められています。

構造法定耐用年数
鉄筋コンクリート造47年
重量鉄骨造(厚さ4mm以上)34年
軽量鉄骨プレハブ造(厚さ3mm~4mm)27年
木造22年
軽量鉄骨プレハブ造(厚さ3mm以下)19年

(参考:国税庁「耐用年数(建物/建物附属設備)」)

原価法で計算したあとは、価格補正を行います。なぜなら、建物には個体差があるためです。駐車場の有無やリフォームなど、価格補正のポイントとなります。

取引事例比較法

売却したい不動産と条件が近い売却事例から多く収集し、適切な事例を選択します。その上で事情補正及び時点修正を行い、地域要因や個別的要因を含めて比較評価する方法です。査定額の算定方法として、最も一般的に行われています。事例は、対象不動産と同一エリア内や近隣地域で離れた地域を含みません。また、事故物件や投機的な物件などは、査定価格に誤差が生じる可能性もあります。 したがって、取引事情が正常なものと認められるものが条件です。ただし、​​評価は不動産業者によって異なるため、同じ査定額にはなりません。

事情補正とは、やむを得ず売らなければならない事情など、個別的な事情を考慮して価格調整することを指します。例えば、ローンの返済や転勤で売却を急いでいるケースなどです。

時点修正とは、取引等の時点が価格時点と異なることで、価格水準に変動がみられると認められた場合、取引事例等の価格等に影響を及ばしている場合に修正することです。

収益還元法

対象の不動産から将来的に生み出される利益をもとに現在の​​​不動産価格を求める評価方法です。主に賃貸マンションなど、収益物件を取得する際に使われます。収益還元法は、直接還元法とDCF法の2つに分けられます。

直接還元法とは、一定期間の​​純収益を一定の利回り(還元利回り)で割って収益価格を求める方法を指します。

DCF法とは、ディスカウントキャッシュフローの略で対象不動産が得られる収益と売却時の予想価格を現在価値に割り戻して算出します。

銀行の融資審査や不動産投資信託などで使用されています。

収益還元法の計算式

収益還元法=1年間の純利益 ÷ 還元利回り

家賃月額が14万円、管理費が2万円、還元利回り8%の賃貸物件を査定すると、(14万円-2万円)×12カ月 ÷8% = 1800万円という計算になります。

4つからなる不動産の評価額!

不動産の評価額には、実勢価格・地価公示価格・相続税評価額(路線価)・査定価格の4つがあります。それぞれ解説します。

実勢価格

実際に取引が成立したときの価格です。不動産の特徴や需要と供給、当事者間の事情によって価格が変わります。したがって、不動産の広告に掲載されている販売価格と実勢価格は必ずしも同じではありません。売買の取引が行われていない場合は、公示地価や路線価、相続税評価額、基準地価などから推定します。実勢価格の調べ方は、国土交通省「土地総合情報システム」を利用することができます。

不動産取引価格情報検索で取引事例を調べたい都道府県を選択しましょう。

(参考:国土交通省「土地総合情報システム」)

https://www.land.mlit.go.jp/webland/

地価公示価格

国土交通省土地鑑定委員会が地価公示法に基づき、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を判定するものです。国土交通省「土地総合情報システム 」で閲覧ができます。公示価格は土地鑑定委員会によって決められ、2人の不動産鑑定士が現地調査を行い、取引事例や土地の想定される収益の見通しを分析して算出します。

相続税評価額(路線価)

相続税評価額(路線価)は、不動産の評価額を算出するための指標で、毎年7月上旬に国税庁が公表するものです。国税庁「路線価図・評価倍率表」で調べられます。

(参考:国税庁「路線価図・評価倍率表」)

財産評価基準書|国税庁
財産評価基準は、相続、遺贈又は贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用します。ただし、法令で別段の定めのあるもの及び別に通達するものについては、それによります。

例えば、宅地を相続した場合の相続税や宅地を贈与した場合の贈与税などを計算するときに使用します。

査定価格

実勢価格と相続税評価額の計算式は、以下の通りです。

実勢価格の計算式

実勢価格 = 公示価格 × 1.1~1.2

実勢価格は公示価格の1.1~1.2倍と言われています。

相続税評価額(路線価)の計算式

被相続人が使用した建物:固定資産税評価額×1.0

第三者に貸していた建物:固定資産税評価額×(1-借家権割合)

路線価は、公示価格の7〜8割程度に設定されています。

それぞれが用いられる場面は?

相続

​​​​両親が亡くなって土地を相続する場合に相続税における土地の評価額を計算します。また、宅地を贈与した場合に贈与税などを計算するときに使用します。

売買

公示価格は、土地の売買などの目安として役立つ指標です。国土交通省の土地鑑定委員会が判定するため、公的機関による客観的な評価が期待できます。

売り出し価格と成約価格とは?

売り出し価格と成約価格は、必ずしも一致しません。売り出し価格は、不動産を実際に売りに出す価格でチラシやインターネット広告されているものです。不動産ポータルサイトやチラシなどで見ることができます。

成約価格とは、売買で成立したときの価格を指します。国土交通省の指定流通機関であるレインズで見ることができます。しかし、不動産会社が利用するサイトで、一般の方は成約価格を見ることができません。

大事なのは複数の会社で査定すること!

不動産売却の査定は、複数の会社に依頼することが大切です。なぜなら、不動産会社によって査定額が変わるためです。場合によっては、相場価格より安い査定額を提示されるケースもあります。インターネットでは、不動産一括査定サイトを無料で利用するこができます。

おわりに

今回は、不動産売却に用いられる査定方法や評価額、売り出し価格と成約価格などについて解説しました。不動産を売却する際は、複数の会社で査定することが大切です。あらかじめ査定方法や評価額の仕組みを知っておくことで、不動産会社とのトラブル防ぐことが期待できます。